英語を習得するために必要な時間
外国語を習得するために必要な時間は言語によって違うという話
日本人が英語を習得するために必要な学習時間については、専門家の間でも意見が分かれるところではありますが、Foreign Service Institute(外交官などの専門職を養成する米国務省の機関)が公表している「英語ネイティブの人が多言語を学ぶために必要な学習時間」の一覧(抜粋 )を参考として 以下に紹介します。
カテゴリー1(英語に密接に関連する言語):約600時間
デンマーク語、オランダ語、フランス語、イタリア語、ノルウェー語、スペイン語、スウェーデン語など
カテゴリー2(英語に類似した言語):約750時間
ドイツ語
カテゴリー3(英語と言語的・文化的に違いがある言語):約900時間
インドネシア語
マレーシア語
スワヒリ語
カテゴリー4(英語と言語的・文化的に大きな違いがある言語):約1100時間
ベンガル語、ギリシャ語、ヒンディー語、ネパール語、ペルシャ語、ロシア語、トルコ語など
カテゴリ5(英語を母国語とする人にとって非常に難しい言語):約2200時間
アラビア語、韓国、中国語、 日本語
こちらを見ていただければ、英語と日本語はお互い最も遠い位置にいることがわかりますね。
ちなみに現在(2019年度)の中学校・高校の学習指導要領によると、英語の授業に割り当てられている時間は合計約1300時間となっていますが、上記の一覧に対してあと1000時間も不足している状況です。(2020年度以降、小学校も含め英語教育が大きく変わるそうですが、とっくの昔に卒業した自分にとっては割とどうでもいい話なのでこのサイトでは触れません。)
そしてこの2200時間というのは「英語学習」をした場合の時間です。このサイトの目的である「英語を勉強しない」場合は、もっと多くの時間が必要であることが予測できます。
じゃあ我々「英語勉強したくない勢」には一体何時間必要なんですか(怒)
という疑問が湧いてくるところですが、これについては興味深い説があります。
それは、どんな分野であっても10,000時間費やせばモノにできるという、いわゆる「10,000時間ルール(The 10,000-Hour Rule)」という説です。(ビル・ゲイツは子どもの頃プログラミングに10,000時間以上触れたことによって天才プログラマーになったと言われており、よくこの10,000時間ルールの例に名前が挙げられます。)
これが言語習得にも当てはまるのか?という調査を2016年にフランシス塩原さんという方が行っており、最終的な結論としては「日本の英語教育は圧倒的に時間が足りないよね!」ということになっています。
で、この10,000時間ルールが言語習得にも適用できそうかどうか、少し簡単な計算をしてみましょう。
例えば、日本に生まれた赤ちゃんが1日10時間日本語を見聞きしていると仮定した場合、1年間で3600時間日本語に触れる計算になります。さらにこれを3年継続すれば約10,000時間触れたことになります。3歳と言えば難しい言葉はわからないまでも、周りの人と意思疎通ができるくらいの年齢です。
これを踏まえると、「英語に10,000時間触れる」ことで、英語ネイティブの3歳児くらいの意思疎通能力は得られるだろうという仮説が成り立ちます。
「子供の脳みそは若いんだからそのくらいの時間で済んでいるんだ!大人はもっと時間が掛かるだろ!」と思うかもしれませんが、我々大人は、中学校・高校と英語学習を嫌々ながらもしてきたわけですから、赤ちゃんと同じまっさらスタートということはあり得ません。言語を習得するプロセスは違えど、時間は大差ないと言えるでしょう。(英語を論理的に扱えるようになればもっと短くて済むかも)
結論
とりあえず英語に10,000時間触れよう!
「そのためにはどうしたらよいか?」は別記事でお話しします。